ALSの方の筋力トレーニングについて

 皆さま、寒い季節が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。最近はインフルエンザが流行している為、私自身も注意しながら、利用者様に外出時のマスク着用など予防をお勧めしております。

 さて、当事業所の利用者様の多くの方は、何らかの疾病に羅患されているのですが、その中で今回はALS(筋萎縮性側索硬化症)利用者様の筋力トレーニングに焦点を置いてブログを書かせて頂きたいと思います。

 我々の行うリハビリテーションでは、主にALSに羅患された利用者様に対して、筋力維持運動や関節可動域練習、ストレッチを含むコンディショニング、安楽な姿勢を構築するポジショニングや福祉用具の選定、家屋改修に対するアドバイス等の環境整備を実施しております。その中で従来、ALSという病気に対し、過度の筋力トレーニングはかえって運動神経の変性を助長し、筋力低下を招く恐れがあるため、実施しないことがリハビリテーション専門職の間のセオリーとなっております。しかしながら、実際にどれぐらいの負荷の筋力トレーニングが効果があるのかは今迄あまり明らかにされておらず、私たちも考え、悩みながらリハビリに取り組んでおります。

 近年の報告では、初期のALS患者に対して週3日以上のストレッチ及び筋力トレーニング群はコントロール群と比較し、中等度の動作練習を15分間行うことによりALSFRSやAchworth Spasticity Scaleスコアの悪化を抑制したといった内容をはじめ、様々な運動プログラムがALS患者に対して有効であるといった報告が散見されます。ラットモデルの研究においては、激しい運動活動が必ずしも運動ニューロンに危険な影響を与えない結果でありむしろ延命効果が認められたといった報告があります。

 このように最近の医療技術・知識の進歩によって私たちが提供するサービスも変化が必要となりますし、利用者様に実施しているサービスの意味を説明する際にもこの様な知識があると、説明しやすくなると思います。今後も私たちは、新しい知識を身に付け、普段の臨床に役立てるよう努力する必要性を今回の記事を書くにあたり改めて感じました。(山崎雅也)