私が担当している訪問先の利用者さんに四肢麻痺・糖尿病で胃ろうによる栄養摂取、運動性失語を認め、透析通院されている要介護5の方がいます。退院後自宅へ復帰された利用者であり、その後徐々に体力が低下してしまい、起き上がり動作が出来なくなったことでケアマネから紹介があり、リハビリ開始となりました。
リハビリ開始当初は起き上がり動作と車椅子への移乗動作が介助レベルであり、殆ど寝たきり状態で奥様の介護負担も大きいものでした。
ここからこの利用者さんの能力は改善したのです。この利用者さんは病前は大変運動好きであり、毎日スポーツクラブへ足を運んでいたということもあり、私のリハビリテーション的アドバイスを基に必死に自主トレーニングに励まれました。また、奥様も以前介護職として勤務していた経験もあって充実したサポートが得られた為に徐々に動作能力は改善して参りました。
現在は訪問開始から4年近く経とうとしており、途中入院や体調不良もありましたが現在でも状態の改善が見られおります。現在は起き上がりはもちろん、移乗動作も自立しており、透析に行く際にタクシーまでの移動は見守りで可能となり、調子のよい日は病院からバスを利用し、バス停から自宅まで奥様と介助歩行で帰ってきます。行動範囲が大きくなった為、買い物をする等の楽しみも増えました。この利用者さんがどうして「良くなった」のかについて考えてみたところ、目標設定とその設定を支援する奥様の協力やご自身の向上心だと感じております。この方の目標は・・・
「毎年兼六園に御花見に行くこと」
当事業所がある金沢市では毎年春になると非常に美しくダイナミックな桜を兼六園で見ることが出来ます。しかし、兼六園は入り口に坂道が多く、砂利道なことから桜を見に行くにはなかなかの能力を要します。
それでも、この利用者さんにとってはこの御花見はとても楽しみにしていると同時に1年間の総評価になっていると思われます。
今のところ、動作が改善し、兼六園に行けるようになってからは毎年出かけられ、御花見をされており、その度に私からも体の負担の少ないコースを薦めたりもします。
本人からも何か目標があるとそれに向かって頑張れるといわれており、その向上心には私も感心すると同時に非常に刺激を受けております。
ちなみに現在の目標は
「北陸新幹線が開通したら、新幹線に乗って東京ドームに行き、大好きなジャイアンツの応援をすること。」
だそうです。新幹線の開通まではもう少し時間がありますが、この方が目標を達成できるように全力で支援してまいりたいと思います。